わずかに笑みを見せて男友達と話している彼を見ながら、私は独り言みたいに呟く。


「なんか、キョウのクールなボケに年々磨きがかかってく気がする」

「いいじゃん、面白くて」

「まぁね……。でもイケメンのくせに今まで彼女いないのって、絶対あのとぼけた性格のせいだよ」


クールで頭も良くてモテるのに、なぜか浮いた話はひとつも聞いたことがない。

どちらかと言えばボケ担当の私が思わずつっこんじゃうくらいの天然くんだから、他の子といてもカップルじゃなくてお笑いコンビになっちゃうんじゃないだろうか。

なんて思っていると、ありさは目を細めていぶかしげに私を見てくる。


「本気でそう思ってるー? 他におっきな理由があるじゃん」

「え、何?」


キョトンとしてありさを見つめ返すと、彼女は肩にスクールバッグをかけ直し、腕を組んで呆れたように言う。


「“夫婦”だの“妻”だの呼ばれてる小夜がいたら、恭哉に気がある女子も尻込みしちゃうでしょーよ」

「……あ」


そっか……なるほど。

ありさの一言に、私はとっても納得してしまった。