「大丈夫ですか?」

「小夜、どうしたの? なんか動きが怪しいけど」


ようやく心配してくれた真木ちゃんと、バスケの練習を終えてやってきたありさ達に苦笑いする私。


「サーブを打った瞬間、なぜか足をグキッと……」

「あらら。保健室行く?」

「んー、湿布くらい貼ってもらおかな……いたたた」


歩くとやっぱり痛い足首をさすりながら、眉を八の字にする海姫ちゃんにそう返した。

授業が終わったら保健室に行こう。今日はあとホームルームだけだし、遅れてもいいや。

ありさがついていくと言ってくれたけど、そこまでしなくても大丈夫だからと、ひとりで行くことにした。


制服に着替えた後、捻った右足をかばいながらひょこひょこと保健室へ向かう。

ノックをして、「失礼しまーす」と言いながらドアを開けると、先生が座っているはずのデスクに別の人がいてキョトンとする。

後ろを向いているけど、いつもの女性の保健医さんではなく、明らかに男子生徒だ。

柔らかそうなブラウンの髪のその人が、椅子を回転させてくるりとこちらを向いた瞬間、私は息が止まるかと思った。