案の定、ふたりも緊張したように姿勢を正す。


「俺は、真剣に小夜との結婚を考えています」


律がしっかりとした口調で告げた。

あぁ、ついに……!

高校の頃から、親公認で付き合っていた私達だけど、やっぱり結婚となると緊張するよ。


一瞬目を丸くしたふたりだけど、お母さんはすぐに両手を口にあて、「きゃー!」と小さく叫んだ。

お父さんは、なんとも言えない顔で硬直している。

そんなふたりに、律は少し照れたような微笑を漏らして言う。


「結婚を意識したのは最近じゃないですよ。子供の頃から、小夜しか見てませんでしたから」

「きゃーきゃー!」

「うるさいよ、お母さん……」


口の端を引きつらせながら、たまらずつっこんでしまった。

お父さんはちょっと生気抜けそうになってるけど大丈夫?

覚悟はしてただろうけど、実際に言われるとやっぱりショックなのかな。


律は、昔を思い返すように、少し目を伏せて話を続ける。


「小夜は、俺が病気だと知っても、いい意味で何も変わりませんでした。ここまでずっと支えてくれて、俺が辛い時は、いつも彼女が半分背負ってくれるんです」