「この先、自分の異常な姿を見せることにもなるし、迷惑もかける。だから……」


そこまで言って、えっちゃんは口をつぐむ。

私の頬に、ぽろぽろと涙が伝っていたから。


『きっと、俺の存在自体が迷惑になる。一緒にいなきゃよかったって思うよ、いつか絶対』


そう言って、悲しげに笑った律の顔が頭から離れない。


私も、キョウも、そんなこと思わないよ。

私達の絆って、そんな簡単に壊れるものじゃないよ。

どんなことがあっても、律は大切な人に変わりないんだから。


「律……私達のこと信じられなかったのかな。病気だって知ったら、私達の見る目が変わると思ったのかな……?」


スカートの上でぎゅっと握った手に、ぽたぽたと涙がこぼれる。

そんな私のそばに来てしゃがんだえっちゃんは、ティッシュを差し出して優しく言う。


「それよりも、小夜ちゃん達とのことを真剣に考えてたからこそ、悲しませるのが嫌だったんだと思うよ」


本当にそうなのかな。

私達は、律が頼れる存在になれていなかったってことじゃないの?

どちらにしろ、打ち明けられずに苦しい思いをさせていたのは事実。

自分が情けないよ……。