「はい、おまたせ」

「ありがとう。あの、おじさん達は?」


氷が揺れるグラスを受け取りながら聞くと、えっちゃんは私の向かい側のクッションに座って説明してくれる。


「今は母さんと3人で暮らしてるんだ。引っ越す前は親父も一緒だったんだけどね。律を診てくれる病院はこの街が一番良くて、俺もこっちで就職したから面倒見れるし、親父だけ向こうに残ってる」

「そうだったんだね……」


ということは、おじさんだけ単身赴任している感じなんだ。

律が病院に通いやすいように、この街に引っ越してきたっていうことなのかな……?


「今日は母さんも親父のとこに泊まりで行ってるから、小夜ちゃんも遠慮なくいてくれていいよ。律はまだ起きないだろうし」


穏やかに微笑んで、グラスに口をつける彼。

私もアイスティーを一口飲んで、気持ちを落ち着けてから口を開く。


「……えっちゃん、律はどんな病気なの?」


ついに核心を突くと、えっちゃんは少しだけ表情を曇らせて、苦笑を漏らした。


「律は隠したがってたけど、もう今日のことで小夜ちゃんも気付いたよね」