「俺はまだ終わってないと思うけどな……」

「ん?」


キョウが何かを呟いたけど、うまく聞き取れず首をかしげる。

すると、テーブルに置いていた私のスマホが音を立て始めた。

皆がケーキとおしゃべりを楽しむ中、画面をタップしてメールを開く。


「…………え?」


お母さんからの用件を見て固まった。

その様子に気付いたキョウやありさが、両側から「どうした?」と問い掛け、私は唖然としたまま答える。


「……律が、家に来て」

「え?」

「今、こっちに向かってるって……」

「「えぇっ!?」」


それを聞いた皆が一斉に叫んだ。

他のお客さんの注目を浴びてしまい、真木ちゃんがぺこりと頭を下げるけど、私は呆然とスマホを見つめたまま。

同じく驚いているありさが、私にぴったりくっついて、興奮気味に言う。


「それって、小夜の誕生日だから……だよね!? 逢坂くん、小夜に会いに来てくれるんだよ!」

「そんな、何で……」


きゃー!と盛り上がる女子3人だけど、私はにわかには信じられない。

だって私、ついこの間フラれたよね?

それなのに、会いに来るって……。