いつの間にか私は律のことを特別な目で見ていて、気が付いた時には、もうめちゃくちゃ大好きだったんだ。

だから、律から『好きだよ』って言われた時は、本当に心臓が止まるくらいびっくりしたし、飛び上がるくらい嬉しかった。


あの時はまだ小学5年生。

恋愛の何たるかなんて全然わかっていなかったし、一緒に登下校したり、公園で遊んだりするのは前から同じだし、幼なじみから抜け出した感覚はほとんどなかったけど。

それでも、お互いがお互いのことを好きだっていう気持ちだけは、本物だったと信じてる。


律がそばにいるだけで、毎日本当に楽しかったし、幸せだった。

なのに、まさかその日々が、卒業と同時に終わりを迎えることになるとは思わなかった。


両親の仕事の都合で引っ越すことになり、中学からは別々の土地で暮らす。

律からそれを聞いた時は信じられなかったし、信じたくもなかった。

物心がつく前からずっと一緒だった律が、突然いなくなる──。

その事実を受け止められなくて、ぼろぼろ泣きながら『嫌だ』と言って、彼を困らせた。