それでもなんとか笑おうとするものだから、絶対変な顔になっているに違いない。


「今日、七夕なのにね! 願い事、叶わなかったなぁ……」


明るく言おうとしたものの、声が詰まってしまう。

そんな私の耳に、優しい声が届く。


「……無理すんな」


それと同時に、俯く私の頭にぽんと手が乗せられた。

どこか安心する、あったかくて大きな手。


「子供の頃からずっと持ってたもの捨てるなんて、辛いに決まってんだから。我慢する必要ねーよ」


……キョウのくせに、私の気持ちに寄り添ってくれてる。

そんなふうに言われたら、心の堤防が壊れちゃう。

涙をいっぱい溜めた瞳で見上げると、頼もしく優しい彼の顔がある。


「俺は、ここにいてやるから」


──もう、限界だった。

顔をぐしゃぐしゃにして、大粒の涙をこぼす。


「キョ、ウ……うぁぁ……っ!」


子供みたいに泣きじゃくる私の頭を、キョウは自分の胸に引き寄せた。

通りすがりの人に絶対ジロジロ見られていたはずなのに、気にせず私が泣き止むまでそうしていてくれた。