待ち合わせは午後1時に、昔よく遊んだ公園で。

早めに着いてしまい、複雑な想いと緊張感を抱きながら、木陰のベンチに座る。

たいして待たないうちに、正面の芝生を歩いてくる彼の姿が見えてきた。

細身のジーンズに、羽織った水色のシャツが爽やかで、今日の私服姿も文句なしにカッコいい。


私を見付けると、律は優しい笑みを浮かべて近付いてくる。

一気に緊張が増して、太ももの上に置いていたバッグの持ち手を、両手でぐっと握りしめた。


「ごめん、お待たせ」

「ううん! 私もついさっき来たところだから」


木漏れ日を浴びる彼は、私の隣に腰を下ろした。

いまだにこれだけでドキッとするなんて。この間は壁ドンしちゃったくせに……。

あの時のことを思い出して、今さらながら恥ずかしくなっていると、こっちを見ている視線に気付く。


「今日、雰囲気違うね」


服や髪型を見ながら言う律に、照れ笑いする私。


「そう?」

「ん……ヤバい」


ぼそっと呟いた彼が目を逸らすものだから、私はキョトンとする。

何がヤバいんだろう?