月、満ちる夜に


「そう、だが……」


「まずは奥州を平定する。母にはしばらくお目付けを与えて妙な行動はさせないようにしておけ」


 微かに成実が目を見張ったのに気づいて、俺は笑った。


「中央の武将が天下を取るぞ。それまでにこの北の地を手に入れて家を守る。見極めが肝心だぞ」


 未だ理解しがたいという表情で、それでも成実は平伏した。


「ならば、家臣にはこの成実から言い含めておく。若の恩赦に義姫も反省をなされるとよろしいが」


「心配はいらない。俺たちは家族だ。初めから切れようのない絆がある」


 とっさに顔を上げた成実の目は、予想どおり生ぬるいと批難していた。



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