月、満ちる夜に


 膝を浮かせる成実に目を戻し、俺は言った。


「この政宗の手違いであったと母に伝えてくれ」


「は?」


 成実が動きを止める。


 月に見惚れながら俺は言った。


「葬儀の席にあの酒を用意させたのは俺だ。母上にはさらなる苦痛をお掛けして申しわけなかったと」


「なにを……」


 困惑する成実に、俺はつづける。


「小次郎にも家督を継ぐ大事な折りに要らぬ心配をかけたと」



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