月、満ちる夜に


 なにかを言う前に反対される。


 従兄という関係柄、幼いときから自分の性格を熟知している成実は、俺が起こすであろう次の行動を読んでいた。


 しかし、それはきっと今の自分の考えとは違う。


 あの理想の世で得た平和な日常。


 誰もが憎み殺すことのない世界。


 羨ましいと思ってしまう環境がそこにはあった。


「心配するな」


「若?」


 成実に牽制され反対されたから、わざとそれに乗ってやるのも一興ではあるのだが、今回は従兄をからかうのは止めておく。



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