月、満ちる夜に


 目を開くと、自分の身体は街灯の支柱に崩れ落ちていて、揺すり起こすように身体に誰かが触れている。


 ――戻って来たのか?


 目を開けると、空に浮かぶ橙色をした月が目に入った。


 そして求める姿を視界に見つけ、泣いている香月と目があった。


「どうして、おまえが泣いている」


「ふぇ、ごめん。急に消えていくから死んじゃうかと思って……」


 香月の泣き顔を見て、ああそうかと納得した。


 この世界ではきっと人の死と向かい合うことは極端に少ないのだ。



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