月、満ちる夜に


「う、分かんないよ。そんなこと! 人質になったお父さんを見捨てなきゃならなかったってこと?」


 戦国時代の人の考え方なんて、わたしには理解できない。


 わたしの父は天然でちょっとズレた思考の持ち主だけど、どんな理由があっても殺すなんてできない。


 両親が自分を愛してくれていると知っているからだ。


「殺せって言われた」


「え」


「自分もろとも敵を排除して跡目を継げと、父に言われた」


「…………」


 伊達君と彼の父親との間には愛情がないわけじゃなかった。



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