月、満ちる夜に


 伊達君はわたしの不遜な態度に気を悪くする様子もなく、小首を傾げて考え込む。


「分からない。ただ、このまま死ぬのは理不尽だと思ってしまったからかもしれない」


 なんだか他人事のように言う伊達君に、しっかりしろと言いたくなる。


「毒殺って、そもそもどういう経緯(いきさつ)でそうなったのよ?」


 女性がらみでもめたとかそういう理由だろうか?


「どんな理由があったのか知らないけど、戦国時代って五百年くらい前でしょ? 伊達君が理不尽だって思っても毒を盛った人は生きてないんだし、さっさと成仏したほうが救われるんじゃないの?」


「五百年も経っているのか。……いや、そうだな。世がこんなに変わるのには長い年月が必要だろうな」



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