月、満ちる夜に


「すぐに誤解だと分かったから、怪我をさせた詫びに一日付き合っただろう?」


 余裕のある表情が、わたしの感情を見透かしているようで、思わず上目遣いに睨んでしまう。


 そりゃあ、こんなかっこいい人と並んで歩いたら、ちょっとドキドキするし、眼福ではあったけれど。


 だけど幽霊かもしれない人の側にいて舞い上がれるほどお気楽ではない。


「……それで、伊達君はどうして成仏してないの?」


 いくら歴史上有名な戦国武将だろうと、こんなやつ、今までどおり『伊達君』で充分だ。


 敬ってなんかやらないのさ。



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