月、満ちる夜に


 楽しそうにテーブルを拭きながら母がとんでもない爆弾を落とす。


 さすが俺の娘、と喜ぶ父親。


「違うよ」


 慌てて否定するわたしに、母はにんまりと笑いながら隠さなくていいのにー、とつづける。


「かっこいい男の子だったじゃない。目に眼帯してたけど、あの子も怪我したの?」


「怪我したのはわたしだけだよ。伊達君はただのクラスメイト。先生に言われて送ってくれただけ」


「そうなの?」


「香月、正直に言いなさい。お父さんは怒ったりしないから。そりゃあ、いきなり学生結婚するとか言い出したらお父さんも言葉につまるかもしれないし、赤ちゃんができたって言われたら勢いでその伊達君とやらを殴るくらいはするかもしれない。だけど反対はしないから言いなさい。赤ちゃん、できたのか? お父さんは十ヶ月後にはお祖父ちゃんになるのか?」



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