月、満ちる夜に


「不思議だよな。俺はあのとき毒を飲まされたはずだったのに……」


「や、や、やっぱり幽霊!?」


 わたしは後退る。


 伊達君は足もちゃんと二本あり、透けているわけでもない。


 ごく普通の学生姿であることを確認してから、わたしは言った。


「だ、誰かが伊達君を毒殺したの? 推理小説なんかでよく使われてる青酸カリとかそういうやつ? もう警察は捕まえたの? ちゃんと殺人事件として捜査してくれたんでしょ?」


「は?」


 怪訝そうにわたしを見ている伊達君が、距離を縮めてくる。



.