だから声をかけたのだけれど、伊達君はわたしが声を発するより先にこちらを見た。 「どうした」 「うん、なんでもない」 曖昧に笑って、左側に回り込む。 ふと伊達君の左目がこちらを見て和んだ。 「こっちは見えないけど、気配で分かるから支障はない」 「気配で?」 でもそれだと、ずっと気を張り詰めてなきゃいけないような気がする。 左側に立てば、車道の車の動きもわたしが気をつけて見ていられるし、伊達君の視界に入っていることができるから安心する。 .