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「……何で直ぐに言わなかったんだよ」

赤茶……西山宗太郎は苛立たしげに私を睨んだ。

「だって、言い出せなくて」

「アホか!傷だらけじゃねえか!当分此処でおとなしくしてろ」

宗太郎が桶に浸けた私の足の裏を洗いながらブツブツと怒った。

そう、ミカヅチ様にすっ飛ばされた私は、裸足だったのだ。

けれどあの状況で裸足だとは言えず、砂利道を歩き続けた結果足裏から流血し、私は転んでしまった。

つくづく憎たらしい、ミカヅチのアホめっ!

私は小さく息をつくと、西山宗太郎に頭を下げた。

「……ごめんなさい」

「ったく」

「きゃあっ」

西山さんは器用に私の両足に手拭いを巻き付けると、ヒョイと私を抱き上げて畳の上に上がった。

「なんだよ」

西山さんは私の瞳を覗き込んでクスリと笑った。

「あの、西山さん、自分で歩けますから」

「宗太郎でいい。西山だとどっちのことか分かんねぇからな」

……ん?

怪訝な顔をした私に西山………宗太郎は、サラリと言った。

「白鷺も名字が西山だからな。従兄弟同士なんだ」