彼の背中に、たくさんのテーピングが施されているのを見て驚いた。
まだこれほどテーピングをしなければならない体なのに、泳いでいるのは本当に頭が下がる。
試合ではテーピングの類は一切禁止されているから、取らなくてはならない。
だから、少なくともこうした処置の必要ない体にまで仕上げなければならない。
練習はすぐに始まった。
小学校低学年の小さなチビッコたちも侮るなかれ。
目の前をスイスイと泳ぐ姿に唖然とした。
私なんて、25メートルも溺れそうになって泳ぐのに。
きっと結城君も小さな頃からこうして泳いできたのだろう。
そしてその努力がやっと報われてきたころ、あんなケガをしてしまった。
結城君は皆とは別メニューのようだ。
最初にゆっくり泳ぐ"アップ"を済ませると、すぐに足にプルブイという浮き輪を挟んで、手だけでクロールを泳ぎ始めた。