夏休みが終わり学校に行くと、結城君を必死に探した。

すると、8クラスもあるのに、すぐに結城君を見つけることができた。
でも、話しかける勇気はない。


全国大会で決勝に残るなんて快挙だけど、もしかしたら彼は優勝を狙っていたのかもしれない。
そう考えると安易に「おめでとう」と言うこともためらわれた。


でもそれから、彼を見つけるたびに視線で追うようになった。

だけど、遠巻きに眺めるだけ。


友達数人と教室移動のために廊下を歩く彼とすれ違ったり、昇降口でたまたま同じ時間に鉢合わせをしたり。
当然彼の眼に私が映ることはなく、勝手に胸を熱くしていただけだった。


彼が所属する水泳部は、屋外プールのため夏の間しかプールに入らない。

でも、9月に入っても、まだなんとか部活は続いていた。