「あっ」
結城君は1コース。反対側の8コースを泳いでいる選手にジリジリと追いつかれ、7番手に下がってしまった。
それでも、テレビの前で手を合わせ、巻き返しを期待しながら瞬きすることすら忘れ彼を追った。
やがて1位の選手が泳ぎ終わり、次々とゴールしていく。
「結城君!」
最後まで全力を尽くした彼は、そのまま7位でゴールした。
タイム、56秒81。
周りも全員そのくらいで泳ぐのだから、特別速くは見えないけれど、もちろん全国ナンバーワンを決める試合なのだから、とてつもなく速い。
ゴールしてしまうとすぐに1位の選手にカメラが切り替わってしまい、その後の結城君はどうなってしまったのか見られなかった。