このふたり、憎まれ口を叩いているけど、本当は仲がよさそうだ。
そうでなければ、こんなこと面と向かって言えない。
「あの……」
「遅刻するから歩きながらね」
理佐に急かされ、私達は歩き出した。
学校まで20分。
その間に聞きたいことは山ほどある。
理佐を真ん中に挟み、右側に雄介君、左に私。
「榎本さんだっけ。龍平(りゅうへい)に黙っておいてほしいなら、なにも言わないから心配しないで」
「ありがとう」
雄介君は優しそうな男の子だった。
「せっかく同じクラスになったから、なんでも聞いて」
「同じクラス!」
雄介君の発言に驚いて大きな声をあげると、理佐が「あはは」と笑いだす。
「ほら言ったでしょ。茜は結城君のことが心配で、他はなにも見えてないって」



