勝手に溢れてきた涙を拭うこともせず、ただ彼のことだけを考え続けた。
「おはよ」
次の朝、家を出ると理佐が待ち構えていた。
「どうしたの?」
途中の道で出くわすことはあるけれど、こんなふうに迎えに来たのは初めてだった。
「うん。あのさ……」
彼女は少し気まずそうな顔をしながら、うしろを振り向く。
するとそこには同じ中学の制服を着た男の子。
「雄介」
「えっ!」
結城君のことを聞いていたあの幼馴染み?
「ごめん。全部話しちゃった」
「全部って!?」
私が結城君のことを好きなことも?
「でも、心配しないで。雄介は余計なこと言ったりしない。ね」
理佐が雄介君に念押しすると、「おぉ」と答えた。
「聞きたいこと、全部聞きなよ。雄介が役に立つかどうかわかんないけどさ」
「たく、せっかく来てやったのにその言い方」



