「あのまま辞めてたら、一生後悔したと思う」

「龍平……」


彼の背中に手を回す。

筋肉質な彼の体は、出会ったころよりひと回りもふた回りも大きくなった。


「茜が俺に夢をくれた」

「違うよ。私が龍平に夢をもらったんだよ」


龍平の姿を見て感動し、競泳の素晴らしさを知り……こんなに熱くなれるものに出会えたことを感謝したい。


「俺、お前をオリンピックに連れていく。だからずっとそばにいろ」

「ホント?」

「来年までかけて、必ずインターハイの表彰台の一番上に立つ。それからだ」