「本当にアイツが好きなのか?」


少し冷たくなってきた風が、ざわざわと大きな木の葉を揺らしていく。

真剣な目で私を見つめたまま動かない結城君は、なにも言えない私を更に急かす。


「俺、昨日は頭に血が上って、チョコちゃんが香川を好きだということまで鵜呑みにしたけど、あの時、チョコちゃんが香川たちを連れて来てくれなければ、水泳部はなかった」


彼は唇を噛みしめ、苦しげな顔をする。


「本当は、香川の言う通りなんじゃないのか?」

「違う……」

「ちゃんと俺の目を見て」


思わず目をそらすと、彼は私の両肩に手を置き、顔を覗き込んできた。


「俺……茜が好きだ」


一瞬息をするのも忘れそうになる。

大好きな人に、告白されているなんて信じられない。
でも……。