ぶっきらぼうながらも、反発し合うことの多かったふたりが、会話を交わしているのが新鮮だった。
「もう行くのか?」
「そろそろな」
結城君も、そろそろアップしなければならない。
「頑張れよ」
卓君に小さくうなずいてみせた結城君は、私に一瞬視線を送ると、更衣室へと向かった。
「卓、やるじゃん」
それからは小栗君と脇田君からの祝福が続いた。
「サンキュ」
そして……。
「久しぶりに興奮した。俺、なんで水泳辞めたんだろ」
脇田君がそう言ったとき、すごくうれしかった。
無理やり水泳部に引っ張ってしまったことが、気になっていたから。
「リレーも頑張るわ」
小栗君がそう口にした。
結城君がリレーへの出場を発表した時、箸にも棒にもかからないのに出場の意味はあるのかと、卓君と同様、ふたりも険しい顔をした。



