きみへの想いを、エールにのせて


「ラスト一本」


試合が決まると、いっそう練習に力が入りだした。

結城君はもちろんのこと、卓君もだ。


他のふたりも、小学生以来という試合に向けて緊張を隠せない様子だったけれど、結城君がうまく励ましながら、目標に向かっていた。


「茜」


プールの外から私を呼ぶ声がして振り向くと、泉が立っていた。


「差し入れだよ」

「ありがとう」


彼女が持っていた袋には、スポーツドリンクが5本。


「香川君、頑張ってるんだ」

「うん」


ずっと私たちのことを心配してくれている彼女は、時々こうして見に来てくれる。

でも、真剣に水泳に取り組んでいる香川君の様子を見て驚いていた。

最初の印象では、私を困らせたいだけのために入部したようにしか見えなかったから、無理もない。