「チョコちゃん?」


泣きそうになって慌てて顔をそむけると、心配そうな彼の声。



「ごめん。目にゴミが入っちゃったみたい」


慌ててハンカチを取り出し目頭を押さえると……。


「見せて?」

「いいよ」

「いいから」


彼は構わず私の両肩に手を置き、顔を覗き込む。


「もう、大丈夫だから」


お願い、見ないで。


「大丈夫じゃない」


必死に抵抗したのに、彼の手の力は弱まるどころか、強くなる。
そして……。


「チョコちゃんを泣かせたくない。どうしていつも辛そうな顔をしているんだ?」


もう、無理。
どうにも我慢が利かなくなって、声をあげて泣いてしまった。


「泣かないで」


結城君は私の腰に手を回したかと思うと、自分の方にグイッと引き寄せ、私を腕の中に閉じ込める。


「結城君……」