「お疲れ様でした」
泳ぎ終わった4人は、プールから上がり着替えに向かう。
がっちりと出来上がった体は結城君。
そこまでではないけれど、肩幅の広い卓君。
ふたりの後姿を見ていると、涙がこぼれそうになって慌てた。
「茜、帰るぞ」
卓君は当然のように私を誘う。
「はい」
そして私は、それに従う。
「香川」
「なに?」
すると突然、結城君が卓君を呼び止めた。
「腰に負担がかかりすぎだ。フォームの改善をした方がいい」
それはきっと、腰を痛めてしまった結城君の優しさだったけれど……。
「はいはい。全国トップレベルの人の言うことは違いますね。もう泳げないのに」
「卓君!」
卓君が言ってはいけないひと言を口にしたとき、頭に血が上って大きな声が出た。



