「茜は、結城君に水泳を続けて欲しかったんだよね」
理佐はうつむく私の顔を覗き込む。
「……うん」
もう涙を我慢できない。
「バカだね、茜は」
「……うん」
理佐の言う通り、私は大バカだ。
大粒の涙がポロポロと頬を伝う。
すると泉まで「どうしようもないバカよ」と涙を流し始めた。
理佐まで加わりひとしきり涙を流すと、すべてをふたりに打ち明けた。
結城君が、全中のリベンジをしたくて、インターハイにリレーで出場したいと思っていること。
それには、部員が必要だったこと。
「そっか……。リレーか」
泉がボソリとつぶやいた。
「競泳は個人競技だから、仲間と力を合わせて感動を分かち合えるのは、リレーだけなの」
「うん。雄介も言ってた。リレーはすごく興奮するって。競泳やっててよかったと思える種目だって」