「水泳部を続けるには、これしか……」
「まさか、茜……」
ずっと香川君を勧誘していたことを知っている泉は、ピンときたようだ。
「彼と付き合えば、入部してくれるって。あとのふたりも紹介してくれるって……」
「そんなバカなこと……」
理佐が唖然として目を丸くしている。
「なんで? なんでそんな申し出受けちゃったのよ! 水泳部を作るのは、結城君のためだったんでしょ? それなのに他の人と付き合ったら、意味ないでしょ!」
泉は私の肩に手を置き、激しく揺さぶる。
違うの。
結城君のためだったけど……彼のことが好きだったからだけじゃない。
スイマーとしての彼を尊敬しているから。
「泉、やめなよ」
私が答えられないでいると、理佐が泉を離してくれた。