すごく照れた顔をして慌ててナプキンで口を拭う姿は、ごく普通の高校生。
きっと私達は、どこにでもいるようなカップル。

なんだか卓君に抱いていたイメージが、ほんの少し変化した。

今なら、聞けるかもしれない。


「卓君」


溶けそうなアイスをもう一口、口に入れ、気持ちを落ち着けてから彼を見つめた。


「なに?」

「どうして、私と付き合うことが条件だったの?」


どう考えても、私が好きだったからではない。
そんなこと、今までの彼の態度を見ていれば一目瞭然。


「おもしろそうだったからじゃねぇ?」

「なに、が?」


努めて冷静にふるまった。
ここで怒ってしまったら、彼はなにも言わないだろう。


「なにって……」


言葉を濁した彼は、困ったような顔をして視線を逸らした。