でも、泉ですら気がついていないのに、卓君が気がついていたなんて。


「うん、ありがとう」


素直にお礼を言って食べ始めると、彼はずっと私の食べる姿を見つめていた。


「やっぱ、ひと口くれ」

「えっ?」


突然私の手ごとアイスを自分の手に引き寄せ、スプーンを使うことなくパクリと一口。


「甘いな」

「あたり前でしょ。アイスクリームなんだから」


と口にしながらも、心臓がバクバクと音を立てていた。

間接キス、しちゃった。

恋愛経験の豊富な人からすれば、こんなことくらいでアタフタするなんてと思うかもしれない。
でも、私にとっては”こんなこと”ではない。

だけど、相手が結城君でないことに落胆した。


「口についてるよ」

「ヤベ、かっこ悪」