「なに食べる?」


なんだかいつもの卓君じゃない。
意地悪な笑みを浮かべる彼は、鳴りを潜めていた。


「イチゴ」

「了解」


ぶっきらぼうに返事をした私を「座ってろ」と席に促した彼は、イチゴのアイスをひとつ買ってきてくれた。


「卓君は?」

「俺は、体絞らないといけないから」


その返事に目を見開く。
結城君や私をからかうだけのために水泳部に入ったのだと思っていたけど、違うの?


「でも……」


ひとりだけなんて食べにくい。


「いいから食え。早くしないと溶ける。それに茜、最近痩せただろ」


その言葉に呆然と彼を見つめる。

その通りだ。

水泳部が廃部になりそうで、食事が喉を通らず、卓君と付き合うことになってしまってそれに拍車がかかり、体重は減少気味。