きみへの想いを、エールにのせて


何本も計測しながら記録していく作業は単純で、余計なことを考えてしまう。

こんな状態が永遠に続くのだろうか……。

そんなことを考えながら、ギュッと奥歯を噛みしめ、ストップウォッチを押した。


その日、結城君は先に帰った。
というのも腰の状態を確認するために、病院に向かったのだ。


過ちを繰り返さないと言った彼は、以前とは違い、きちんと自分の体に向き合いながら水泳を続けている。

単に表彰台に乗りたいという欲求だけでなく、もっと先を見据えている気がして、うれしかった。


「茜、帰るぞ」

「はい」


「お疲れ様でした」と小栗君と脇田君に挨拶をすると、「お疲れー」と声が返ってきた。

"部活が始まった"という感じで本当はうれしいはずの光景も、重荷でしかない。