私は心配で部室まで彼についていった。
「テーピングする? それとも、冷やしたほうがいい?」
「榎本さん」
部室に入り彼を椅子に座らせ尋ねると、結城君は真剣な眼差しで私を見つめる。
胸が苦しい。
今の私は罪悪感の塊。
彼の熱い視線で、"嘘"という身ぐるみを溶かされてしまいそう。
結城君はしばらくそのまま私を見つめたかと思うと、「ふーっ」と大きな溜息をつきながら、タオルを首にかけた。
「ホントに香川と付き合ってるの?」
その質問に即座に応えられない。
『付き合っている』と言わなくてはならないのに、言いたくない。
「あの……」
結城君から視線を逸らし、うつむいた。
「茜」
そのとき、部室のドアが開き、卓君がやって来た。
「早く計測しろ」
「うん」



