「お前、アイツのこと好きじゃないんだろ? だったら怒る必要なんてないだろ」
私が結城君に恋してること、わかってるくせして。
「どうしてこんな意地悪するの?」
「意地悪? 水泳部を存続できるんだから、感謝されたいくらいだけどな」
ホントにこれで正しかったのかな。
もう頭の中がグチャグチャで、なにも考えられない。
「明日、あとのふたりを連れてきてください」
「わかってるよ。ふたりには俺達の関係も話しておくよ」
「勝手にして」
結城君に知られた今、他の誰に知られようが構わない。
「待てよ」
小走りになって彼から離れようとすると、腕をガシッとつかまれ止められてしまった。
「なに?」
溢れる涙を拭いながら、彼をにらみつける。
初めてできた彼氏が憎いだなんて、最悪だ。



