「昨日一緒に来ていたひとりが、私の幼なじみなの」
「えー、知らなかった」
言ってくれればいいのに。
「アイツ、最近余所余所しいから、素知らぬ顔してあげたわ」
そういう年頃といえばそうかも。
私が結城君を好きなように、異性を”好き”という対象としてみる様になったから。
「で、アイツも水泳部なんだけど」
理佐は私を手招きして顔を近づけ、小声で話し始めた。
「結城君、水泳部のエースで、全国大会の常連さん」
もちろん、それは知っている。
「小さい頃から、近所のスイミングクラブで選手コースに入って、頭角を現したのは小5の時。それまでたいして注目されていなかったんだけど、いきなりジュニアオリンピックっていう大きな全国大会で、表彰台」
「そうなんだ」
それは初耳。



