「ごめんなさい。待たせましたか?」


こういう日に限って、帰りのホームルームが長いのはどうしてだろう。

慌てて階段を駆け下り中庭に行くと、もう香川君は来ていた。


「いや。それで?」

「はい。香川君の力が必要です。是非、水泳部に入ってください」


私が頭を下げても、なんの反応もない。


「あの、勉強もあると思いますので、部活に来られない日があっても構いません。リレーができるだけの人数を集めなければ、廃部になってしまうんです。だから……」

「結城、泳いでるんだって?」


やっと口を開いた。
やっぱり結城君のことを知っているんだ。


「はい。結城君が第1号の入部者です。1学期中にあと3人そろえ……」

「お前、結城の女?」

「は?」


香川君の言葉に耳を疑う。