中学生くらいの子供がなぜここにいるのか戸惑う春麗とは反対にアリは、
「どうしたの。どうやってここに来たの?」
笑みさえ浮かべて子供に話しかけた。
「………ママ………と………追って………」
まさか。
こいつらは子供はいないと言っていたはずだ。
「ママって誰のことかなあ?」アリが子供にゆっくりと近づいていく。
子供は後ずさりながら、床に転がる女の死体に指をさした。
「それはどうかな。彼女は子供はいないと言っていたよ」
「ちがう………び………びっくりさせようって………」
「びっくり? なんのことだろう」
「ママ………が、春ちゃんて人をびっくりさせようって」
「春ちゃんを?」アリが春を振りかえる。春は首をふった。
「春ちゃんの誕生日だからって、いきなり行って驚かせて、それから………」
「それから?」春があとを急がせた。
「それから、ケーキと料理で逆におもてなしをしようって、そ、そういうこととにになってたから………」
子供はじりじりと距離をとり、逃げるチャンスを伺っていた。
春は口をおさえ、泣きそうな顔になっている。すぐにアリは春を抱き締める。
この二人は子供だけは殺さない主義だ。しかし、見られてしまったら話は違ってくる。変えなければならない。
「………よけいなことをしてくれたね」春はアリに抱かれながら子供を睨み付け、
「でも、これを見ちゃったからには、生きて返すわけにはいかないよ」
泣きながらにったりと笑った。その目は輝いていた。
二人が一線を越えた最初の日となった。それからというもの、だれかれ構わずに気になった獲物は全て捌くようになっていった。

