A RUTHLESS KILLER


「今回も楽しくてうずうずした。でもね、私たちは初めて会ったって設定だったでしょう? 最初は新鮮で面白かったけど、でもだんだん我慢できなくなってきた」

「そう? なんでか聞かせてくれる?」

「あの女たちのせい。あいつらはアリにも色目を使ってた」

「そうかな。気づかなかった」

「うそだ」

「はは。それだからこそ燃えたよな」

「まあね。でも私、ほんっとイライラしてたんだからね」

「俺はけっこうそんな春も好きだったけど?」

「……………えー……アリさんの趣味ってえ、そんな感じだったんですかあ?」

 春が両手でツインテールをして、わざとらしく上目遣いにアリを振り返った。

「それ。好き。反応してくる」

「ここでやっちゃう?」

「お前の中に違う奴の血が入っていくって想像するだけでヤバい」

「アリさん、そんなこと言っちゃっていいんですかあ?」

 春が面白がってアリをからかっている。



 二人はこうしているところを戸張に見られていることなど全然気づいていなかった。

 戸張は音をたてず、気配を消して二人の後をつけてきた。

 途中、佐々木の死体を見て叫びそうになった。流しに無様に捨てられている血まみれになった人体の一部に吐き気をもよおしたが、拒む体をなんとか奮い立てていた。