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「やっと帰ったね」
「そうだね」
「でもあと一人、片付けないとここの秘密がバレるわね」
「まあ、バレるのは遅かれ早かれ時間の問題さ。それに、絶対にまたここに戻ってくる。その時に絞めてしまえばいいだけの話」
「私、あいつはあまり好きじゃないから、食べたくないんだけどな」
「別に食べなくても、他の人に食べさせればいいじゃん」
「……うん、それもそうだね」
「食べなくとも、捌くのは好きでしょ」
「好き」
「好きならなおさら、いろいろ試せるってわけだろ。戻ってさっさとあいつを捌いてしまおう」
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佐々木は既に殺されていて、地下室の奥にあるアルミ製の台の上に裸で寝かされていた。
喉元をすぱっと一思いに切られての失血死だった。
一瞬のことなので、自分がどうなったのか考える間もなく、闇の中に引き込まれていったのだろう。
最後は苦しまなかった。
佐々木の彼女たち、静と涼子のあらゆる部分の肉の塊が1つの大きな袋に詰められて業務用の冷凍庫に保存されている。
そこに自分の体もこれからバラバラにされて入れられることになろうとは、生きているときには微塵も思わなかったことだろう。
冷たくなった体は青白く、瞼が半開きになっていて白目がそこから不気味に見えている。
綺麗に研がれたナイフが、肉を捌くのを楽しみにしているように銀色に輝いていた。

