「そいいうわけだからさ、いいかな?」
アリがやんわりと別々に帰ることを告げ、もちろんのことそれに反対する理由もないのでメイと小太郎は同時に頷く。
その後、荷物をまとめて出てきたメイと小太郎を駅まで車で送り、帰ってきたら二人だけでいろいろ話そうという話をした。
腕組をしてべったりはりつく春をほのぼのと見ながら、
「春。あんまりわがまま言っちゃだめだよ。あんたけっこうやりすぎるところあるからね」
と、春がわがままを言うということをやんわりアリに伝えると、お約束通りに春が「そんなことしないもん」と膨れる。
「じゃ、アリ、このどうしようもないやつのこと頼むな」言いながら春の頭を撫でた。
「どうしようもなくないもん!」
四人は駅で別れを告げ、メイと小太郎は一時間に一本の電車が来るまでの間にお土産屋を見て回り、春とアリは車に乗り込んで戻って行った。
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メイのあとをつけていた戸張は、駅でメイと小太郎の様子をうかがっていたが、首を傾げ、二人と別れて戻って行った春とアリの車をじっと睨んでいた。

