「そうやってむきになるところと、頬を膨らますこと。ここにきて初めてやったよそれ。ってことは、何か知ってるってことだよね?」

「そんなことしてない!」

「へー。そう。じゃあ小学校の時に先生に怒られたことも言っていいの?」

 どきっとした春は急に顔を赤らめた。彼女にしてみたら絶対に言われたくないことの一つだ。

「いいんだね。言うよ」

 メイが畳み掛ける。


「もー! アリさん。メイちゃんが意地悪する!」


 アリの後ろに隠れて助けを求める春を背中にかばい、


「ってかアリお前いつの間に春麗とそんなに仲良くなったんだよ」

「いや、それは」


 小太郎の突っ込みにアリが戸惑う。


「もう! 小太郎までそうやって意地悪する!」

「してねえだろ。聞いただけだし。なんか知ってんなら全部吐けよ。俺らだって心配なんだからな」

「何も知らないもん! 三人ができてたこと以外知らないし! なんでそんな私ばっかり攻めるの? 嫌い!」


 はっと息をのんだときには遅かった。春が自分の口を両手で覆い、目を大きく見開いていた。


 はあ……



 ため息をついたのはアリだった。