佐々木が消えたことに気が付いたのは次の日の朝だった。
メイ、小太郎、春、アリが朝食のために外に出たがいつまでたっても佐々木は来なかった。
様子を見に行ったアリが佐々木がいないことをみんなに告げた。
三人分の荷物もごっそりなくなっていた。もぬけの殻。すべて消えていた。
部屋もきれいになっていて帰ったとしか思えない状態になっていた。
「でも、誰もいないってひどくないですかあ? みんな佐々木さんたちのために残ってたっていうのに、何考えてるんでしょうね。アリさんには言ってから帰ってもいいと思うんですけどお。勝手に帰るなんてなんか失礼ですね」
春が頬を膨らませた。
「春。なんで帰ったって思うの?」
「え? だってメイちゃん、三人とも荷物がないんだよ。帰った以外になにがあるっていうの? 荷物まとめて朝一とかで帰っちゃったんじゃない?」
「例えば、何か事件に巻き込まれたとかさ、そうは思わない?」
メイが意味深に春に言うと、
「……ああ……事件かもしれないってことねえ。んーー、だとしても、なんで三人がいなくなるの? 事件だったら私たちも危ないってことでしょう?」
と、今度は春も意味深に答えた。
男二人は様子を見守ることしかできない。
「春、もしかして何か知ってるんじゃないの?」
「メイちゃんこそなんでそんなこと聞くのよ」
「春は、みんなが知らないことを自分だけ知っているときにかならずやることがあるんだよ」
「なにそれ。そんなことしないもん」
春がむきになった。