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骨をぶった切る音が部屋中に響き渡る。
鉄臭いにおいが一帯に充満した。剥ぎ取られた皮はざるに投げ入れられ水にさらされる。
骨にこびりついた肉を生のまましゃぶり、歯で肉をこすり取る。骨をしゃぶる。
肉をしゃぶり取ったあとの骨を骨切り包丁で割って中の髄を吸い出した。ぢゅるぢゅると音を立てて吸い付くす。癖のある味が額の奥に鈍く響く。
「おいしい」
にっこりと微笑んだ。
胸の間からヘソ下まで縦に裂いた腹から腸を引きずり出して適当な長さに切る。水で洗って中の排泄物を洗い出し、太ももの肉を脂身とともにミンチ状にして腸詰めにして両端を髪の毛できつく縛る。
剥ぎ取った皮は水気を取り、多めの油でぱりぱりになるまで揚げた。
薄い桃色をした肺にも水を流し入れてきれいにし、ナイフで優しく開いてスライスする。
「これは保存しておこうか」
「そうだね。これだけ殺せば当分は楽しめる。冷凍保存しておこう」
「あの二人はどうしようか」
「あの二人は殺すわけにはいかない。まだ使える」
「よし、分かった。全員殺ってしまったらこっちが疑われるしね」
「そう。それに泳がせておけば次の獲物も簡単に捕まえられる。そしてまたここに来ることができるでしょう?」
「じゃあ、早急にあの男の始末をしないと」
「大丈夫。今日の夜にでも絶対に入り込んでくる」
けたけたと笑う二人の口元は真っ赤に染まっていて、
キスしあうたびに血の味が口の中に染みわたる。
血だらけになった手で触れ合うたびに色々な人の混じった血が体の中に入ってくる。
それを楽しむように、切り落とした頭部を並べた机を見ながら二人は絡み合った。