「う、うるっさい! もう! メイちゃんなんとかして! 小太郎君きらいっ!」
「あー、はいはい。わかったわかった。もういいからほら、早く中入ろう」
「待って。鍵今開けるから」
アリがポケットから鍵を出しながら走る。
その後を小走りに春麗が追った。まったく懲りていない。
「おい、あいつまじでアリ狙いなの?」
「さあ。ここにいる男の人はアリさんだけだし、だからじゃない? 夏を楽しもうとしてるのかもー」
「まじか。あいつほんと現金なやつだな。てか、言ってなかったけどまだこれから人来るんだよ」
「そうなの? いつ? って誰? 知り合い?」
「厳密にはもう来てんじゃねえかな。隣のログハウスにいるっつってたから夕飯の時に合流予定」
「へえ、そうなんだ。同じ大学?」
「そう。アリの山岳部の仲間な。高校生はおまえと春麗だけだ」
「そうなんだね、大学生の中に混ざってキャンプー、楽しそう」
「だな!」
「だね!」
メイと小太郎はそんなことを話しながら先に中に入って行った二人の後をゆっくりと追った。

