_昼過ぎ。
午後は佐々木が一人で二人を探し出すことで話がまとまった。
そんなこともあり、帰る前の午後は各々自由に過ごそうということになった。
メイと小太郎がボートに乗っていると、その周りを距離を保って着いてくる一艘のボートが目についた。
メイも小太郎も気にはなっていたがとりあえず距離を保って様子をうかがっていた。
ボートには大柄な男が一人で乗っている。
遠目にも怖い人のように映る。それに、カップルばかりの中、男一人で乗っているボートはよくよく目立つ。
関わりたくない類の人だ。だから気づかないふりをしていた。
遠巻きにメイと小太郎のボートを観察し、二人の視界の死角に入ると双眼鏡で二人の顔をチェックした。
「クソが。顔をしっかり見てねえからどの女なのか分からねえ。残ってる女はこいつとあともう一人だったよな。ってことはこいつらのどっちかなんだけど、顔が見えなかったからよくわからねえ。しかも体つきも同じような感じじゃねえか。クソ!」
男はボートの底を靴でガンと蹴った。大きくボート沈み、水が跳ねる音が耳につき更にイライラする。
そんな中でも、メイに狙いを定めた。
外のテーブルで遅い朝食を食べていた五人の中から、時折鋭い目つきをするメイのことをマークしていた。
男が三人いるが、こいつらじゃない。
女だ。
あのツインテールにそんなことができるはずがない。しかも腕力もなさそうだしすぐに泣きだしそうな感じだ。
反対にメイはいつもだぼっとした恰好をしている。
体のラインを隠すようにして見せない。てことはそこに何かを隠している可能性もある。

